2006.06.03

目白バ・ロック音楽祭2006

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※出演者たちのサインてんこ盛りのポスター/儀右衛門 撮影

◆イベント名称 : 目白バ・ロック音楽祭2006
◆公演期間 : 2006年6月2日(金)〜6月25日(日)
◆会場 : 東京カテドラル聖マリア大聖堂、自由学園明日館講堂、聖母病院チャペル、目白聖公会、ほか

◆雑感
ラ・フォル・ジュルネ同様、こちらも2年目となる音楽祭。約1ヶ月にわたって18公演、バロック・ルネサンスの分野では、国内最大規模と言えるかも知れません。面白いことに、開催地である目白近辺には音楽ホールがありませんから、教会や歴史的建物など、かえって雰囲気のある場所でバロック音楽を楽しむことが出来るのが大きな特徴になっています。地元住民の協力で成り立っているのも、祭り全体の雰囲気を良くしている大きな要因でしょうか。

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2006.05.05

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン

◆イベント名称 : ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2006 モーツァルトと仲間たち
◆公演期間 : 2006年5月3日(水)〜5月6日(土)
◆会場 : 東京国際フォーラム

◆雑感
まだ2回目ですけど、すでに日本最大の音楽祭になってるんでしょうね。去年のベートヴェンに引き続き、今年はモーツァルト特集。いくつかの会場で行なわれているショート・プログラムをチョイスし、低料金で楽しめるシステムってのは、なかなか面白いアイデアです。自分の好みの公演を回り、空き時間には無料コンサートやレクチャ、露天での買い食いなどを楽しむことも出来ます。もう、お祭り気分満喫。
しかし、超有名作曲家なんてそう何人もおりませんから、今後のテーマの選択が難しいでしょうね。来年は民族音楽特集らしいですけど、果たして今年みたいに人は集まるんでしょうか。

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2006.04.30

俵屋宗達_関屋・澪標図屏風

◆展覧会名称 : 国宝 関屋・澪標図屏風と琳派の美
◆開催期間 : 2006年4月8日(土)〜5月14日(日)
◆会場 : 静嘉堂文庫美術館

◆主な出品作
国宝 俵屋宗達 「源氏物語 澪標図」「関屋図」

◆関連企画/ミニシンポジウム
4月30日(日) 午後1時30分〜4時
コメンテーター : 河野元昭氏(東京大学教授・国華社編集委員)
「宗達の新資料とその意義」五十嵐公一氏(兵庫県立歴史博物館学芸員)
「源氏物語関屋澪標図をめぐって」小林優子氏(静嘉堂文庫美術館学芸員)

◆雑感
シンポジウムでは、屏風の置き方についていくつかの考察がなされました。展覧会場では、屏風は数十センチ高い位置に横並びで置かれますけど、実際の使われ方としては、使用される空間の広さを鑑みて、L字型で置かれていたらしい。あるいは、人を挟み込む形で二の字で置かれた可能性もあると言うことです。今後は、それを再現した展示などもしてもらえたら、面白いと思うんですが。

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2006.04.23

池袋西口公園古本まつり

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※夏目漱石の初版復刻本/儀右衛門 撮影

◆イベント名称 : 第3回池袋西口公園古本まつり
◆日時 : 2006年4月19日(水曜日)〜25日(火曜日)
◆会場 : 豊島区立池袋西口公園

◆雑感
夏目漱石の初版復刻本(写真参照)が、あまりにも素敵だったので、ついつい購入してしまいました。漱石の本であれば、安価な文庫本でいくらでも手に入りますし、何なら青空文庫あたりで無料で読む事だって出来ます。それでも、装丁や活字の並び、重さや紙のページをめくる感触まで含めて楽しみたいと思う私は、古い人間なのかなぁ。

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2006.04.14

ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団

◆イベント名称 : ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団 来日20周年記念公演
◆公演期間 : 2006年4月6日(木)〜9日(日)、13日(木)〜16日(日)
◆会場 : 国立劇場大劇場

◆出演
ヴッパタール舞踊団

◆プログラム
「カフェ・ミュラー」
振付 : ピナ・バウシュ
美術・衣裳 : ロルフ・ボルツィク
音楽 : ヘンリー・パーセル

「春の祭典」(1975)
振付 : ピナ・バウシュ
美術・衣裳 : ロルフ・ボルツィク
音楽 : イーゴリ・ストラヴィンスキー

◆雑感
ベジャール版の「春の祭典」と比較してみると面白いですね。人体の動きをシャープに研ぎだしたベジャール、無駄の無い動きのラインから弾け出るような力強さが際立っていました。対してバウシュ版は、一見すると混沌としています。舞台一面に撒かれた土を蹴散らしながら踊るダンサーの体型も様々、動きの方向も様々。人間の体や自然…ここでは春に溢れ出す生命が孕んだ矛盾を、隠さずそのまま表現したかのようです。自然の持つ凶暴性、生命の怯えが、実に生々しく伝わって来るようでした。

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2006.04.01

映画 ヴェニスの商人

◆タイトル : ヴェニスの商人 THE MERCHANT OF VENICE
◆公開日時 : 2006年3月25日(土)〜4月7日(金)
◆会場 : 飯田橋ギンレイホール

◆制作データ・キャスト
2004年/アメリカ・イタリア・ルクセンブルグ・イギリス映画/英語/2時間10分
監督:マイケル・ラドフォード

出演:
アル・パチーノ 〔 シャイロック 〕
ジェレミー・アイアンズ 〔 アントーニオ 〕
ジョセフ・ファインズ 〔 バッサーニオ 〕
リン・コリンズ 〔 ポーシャ 〕
ズレイカ・ロビンソン 〔 ジェシカ 〕
チャーリー・コックス 〔 ロレンゾー 〕
ヘザー・ゴールデンハーシュ 〔 ネリッサ 〕
アラン・コーデュナー 〔 テューバル 〕

◆雑感
やっぱり、映画で演劇の脚本を使おうってのは難しいですね。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの舞台と比べるのもどうかと思いますけど、空間の設定が抽象的で曖昧だからこそ成り立つ台詞ってのも多いわけで、映画だとどうしても浮いちゃうんですね。コメディとは言え、普通、映画に独白シーンなんて入れないでしょう。
そんな中、シャイロック役のアル・パチーノが、負のエネルギーで自らを追い込んで行く人間の切なさをリアルに演じきっていたのは流石。これが絶妙な後味の悪さを作っていて、この映画を単なる絢爛シェイクスピア絵巻で終わらせていませんでした。

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2006.03.19

よみがえる源氏物語絵巻

◆展覧会名称 : [特別展] よみがえる源氏物語絵巻 〜平成復元絵巻のすべて〜
◆開催期間 : 2006年2月18日(土)—3月26日(日)
◆会場 : 五島美術館

◆主な出品作
国宝「源氏物語絵巻」全十九図(オリジナルは、徳川美術館・五島美術館蔵)復元模写
加藤純子、富澤千砂子、馬場弥生、林功、宮崎いず美 筆

◆雑感
復元模写というのは、その絵が描き上がった当時の状態を再現するという模写の方法です。(ちなみに、絵の現在の状況を、剥落や退色した姿そのままに写す方法を剥落模写と言うそうです。)なにぶんにもオリジナルは12世紀に描かれたものです。紙は茶褐色に焼け、絵の具の多くが剥落、あるいは退色して、まぁ、それはそれで素晴らしいとは思うのですが、画家の意図とはかけ離れたものになってしまっています。やはり、本来の華やかな姿を見たいという思いはいつの時代にもあったのでしょう。源氏物語は、今まで何度か復元模写が行われてきました。
今回の「平成復元」の特徴は、最新の科学的分析を行い、そのデータを元により精度の高い復元を行っている点と、複数の画家が複製に携わっている点でしょうけど、この2つの特徴が面白い結果を生んでいました。科学的なデータも、それを解釈し使う人によって微妙に異なる結果を出すということでしょうか、それぞれの絵に、復元した画家それぞれの特徴が出てたんですね。
芸術の復元と言うのは、古楽(バロックやルネサンス音楽の復元)にしてもそうなんですけど、学究的な側面だけで出来るものではないんですよね。復元する人は、表現する人でもあるのですから、個人の価値観や美意識を排除できるものではないし、すべきでもない。そんな事を思いながら、よみがえった雅びやかな王朝絵巻の世界を堪能したのでした。

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2006.01.21

ヴェルサイユの祝祭IV

◆イベント名称 : バロック音楽と舞踏のスペクタクル〜ヴェルサイユの祝祭IV —フランスからドイツへ、バロック・ダンスからバレエへ—
◆公演期間 : 2006年1月21日(土)19時開演 / 1月22日(日)14時開演
◆会場 : 浜離宮朝日ホール

◆出演
【バロック・ダンス】
Thomas Baird
Paige Whitley-Bauguess
浜中康子
位下直子、国枝真才恵(バレエ)
北條耕男、簗木純夫

【バレエ 】深川秀夫

【演奏 】
若松夏美(バロック・ヴァイオリン/ソロ) 
高田あずみ(バロック・ヴァイオリン) 
森田芳子(バロック・ヴィオラ)
縣田貴嗣(バロック・チェロ) 
櫻井 茂(ヴィオローネ/ヴィオラ・ダ・ガンバ) 
上尾直毅(チェンバロ)
ボーイソプラノ : NHK東京児童合唱団団員

【語り】朝岡 聡

◆プログラム
【第1部】フランスからドイツへ
・スペインのフォリア(マラン・マレ)
・ラ・ブルゴーニュ
・ラ・カールシュタット
・アルルカン組曲<画家アルルカンの恋物語>
・フェンシング指南(シュメルツァー)

【第2部】融合「夜のバレエ」〜バロック・ダンスからバレエへ
・ヴィヴァルディ「グロリア」より
・融合「夜のバレエ」とバッハ
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番より「シャコンヌ」他
管弦楽組曲第3番より「アリア」
アポロンのアントレ(J.-B. リュリ)

◆雑感
今回プログラムにあるシャコンヌにしてもそうですけど、大バッハは舞曲のタイトルが付いた楽曲を多く残しています。が、実際にバッハの時代には、それらの曲が持つべき「踊らせる」という目的はほとんど無くなっていたようです。
しかし、半世紀前のフランス・バロックではそうは行きません。何たって、その中心にいたのは、踊る王ルイ14世。舞曲は踊れるように演奏しなければいけません。例えばラジオ体操のピアノだって、音価どおりに棒弾きされたら、体操にならないでしょう。舞曲だって、踊りの性質にあった弾き方をする必要がある。
今日の演奏家たちは、その辺はさすがに心得たもの。目にも耳にも心地よく踊りのテンポを刻んでくれます。こういうのって、理屈だけじゃなくて、感覚で分かってないと弾けないと思います。ま、自分で踊れるのが手っ取り早いんでしょう。当時の宮廷楽長リュリのように。

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2005.12.17

ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー『夏の夜の夢』

◆コンサート名称 : ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー 『夏の夜の夢』
◆公演期間 : 2005年12月9日(金)〜17日(土)
◆会場 : 東京芸術劇場中ホール

◆出演
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー
演出 : グレゴリー・ドーラン Gregory Doran

◆プログラム
『夏の夜の夢』ウィリアム・シェイクスピア

◆雑感
"A Midsummer Night's Dream" は、「真夏の夜の夢」じゃなくて「夏の夜の夢」と訳されております。"Midsummer" は本来「夏至」あたりを意味するそうで、なるほど、確かに真夏より夏至ほうが物語の持つ弾けるような生命感と狂乱したようなイメージに似つかわしいようにも思えます。

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2005.11.05

レオナルド・ダ・ヴィンチ「レスター手稿」

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※会場で購入したレスター手稿のファクシミリ/儀右衛門 撮影

◆展覧会名称 : 『レオナルド・ダ・ヴィンチ展』 直筆ノート「レスター手稿」
◆開催期間 : 2005年9月15日(木)〜11月13日(日)
◆会場 : 森アーツセンターギャラリー

◆主な出品作
レオナルド・ダ・ヴィンチ「レスター手稿」、および関連資料。

◆雑感
最近は、マスコミにレオナルドの名前が出たと思えばダ・ヴィンチ・コード絡みだったりして、ちょっとうんざりしているわけですが、ま、オリジナルの手稿の公開とあれば、見に行かないわけにはまいりません。
しかし、天才の自筆とはいえ小さな文字(それもイタリア語の鏡面…つまり左右反転された文字)と少々の挿し絵で埋め尽くされたノートの展示という地味な展覧会にもかかわらず、これほどの人が集まったのもダ・ヴィンチ・コード効果と六本木ヒルズ効果の霊験あらたかってとこでしょうか。

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2005.10.29

円山応挙「雪松図屏風」

◆展覧会名称 : 開館記念特別展「美の伝統 三井家伝世の名宝」
◆開催期間 : 2005年10月8日(土)〜12月25日(日)
◆会場 : 三井記念美術館

◆主な出品作
円山応挙「雪松図屏風」

◆雑感
去年の江戸博での応挙展で見る事の出来なかった国宝の雪松図屏風です。応挙と言えば写実、写実と言えば応挙。雪の柔らかさや冷たさ、その重みを割ってツンツンと顔を出す松の枝葉の生命力。確かにこの絵にも執拗な自然観察からのみ得られる確かな描写があります。
だけど、この絵を見た最初の瞬間、まず目に飛び込んで来るのは描写よりも構成とか手法とかのデザイン的要素だと思うんですよね。画面を支配するのは金とモノクロームだけの抑えられた色調。通常の屏風絵ではその背景の金に箔を用いるため、輝きを持った抽象的な平面となりますが、この絵では鈍い発色の金泥で描かれた階調が、この世のものならぬ不可思議な奥行きを創っています。そして、その手前にあるモノクロームの雪松は、輪郭を描かず白の絵の具を使わず、つまり雪の白い部分は何も描かずに紙白を残すという究めて工芸的な技法で表現されています。物理的な絵の具の層は薄く、何も描かれていない紙白の質感までもが重要な絵の構成要素となる、大胆な見かけとは裏腹のストイックな手法。
もちろん金地背景も墨絵も伝統的な技法ですが、そこに写実という違和感のある技法を絶妙なバランスで取り入れることで、元から伝統的な屏風絵が持っていたグラフィカルな要素を際立たせる。写実を、単なる写実で終わらせなかったことが、応挙の真の功績なんじゃないでしょうか。

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2005.09.17

カルミニョーラ&ヴェニス・バロック・オーケストラ

◆コンサート名称 : ヴェニス・バロック・オーケストラ〜オール・ヴェネツィアン・プログラム〜
◆日時 : 2005年9月17日(土) 19:00開演
◆会場 : 三鷹市芸術文化センター 風のホール

◆出演
ジュリアーノ・カルミニョーラ(バロック・ヴァイオリン)
アンドレーア・マルコン(指揮、チェンバロ)
ヴェニス・バロック・オーケストラ

◆プログラム
バルダッサーレ・ガルッピ : 四声の協奏曲ト長調
トマゾ・アルビノーニ : 五声の協奏曲 イ短調 作品5-5
ベネデット・マルチェッロ: 弦楽と通奏低音のためのシンフォニア ト長調
アントニオ・ヴィヴァルディ : ヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ホ短調 RV.278
アントニオ・ヴィヴァルディ : ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 変ロ長調 RV.547
〜休憩〜
アントニオ・ヴィヴァルディ : ヴァイオリン協奏曲集「和声と創意への試み」作品8より「四季」
・第1番 ホ長調「春」作品8-1 RV.269
・第2番 ト短調「夏」作品8-2 RV.315
・第3番 ヘ長調「秋」作品8-3 RV.293
・第4番 ヘ短調「冬」作品8-4 RV.297
〜アンコール〜
アントニオ・ヴィヴァルディ :
ヴァイオリン協奏曲 RV.252 より アレグロ
ヴァイオリン協奏曲 RV.583 より シャコンヌ
ヴァイオリン協奏曲 RV.295 より ラルゲット
ヴァイオリン協奏曲 RV.177 より 第3楽章
「四季」より「夏」第3楽章

◆雑感
「四季」「夏」のプレスト楽章の途中で照明が落ちて2〜30秒ほど真っ暗になってしまうアクシデントが発生しました。それでも演奏が休むことなく続けられると、観客は大喝采。そこから会場のテンションは一気に上昇します。カルミニョーラは、まるで歌舞伎役者のように見得を切りながら弓を振りかざしてズバズバと音符を切り刻み、マルコン率いるヴェニス・バロック・オーケストラもキッチリと脇を固めます。会場は笑いと熱狂の渦。基本的に私は、外連味の無い演奏を好む方なのですが、暗闇のアクシデントのおかげもあって、今日はイタリア音楽のエンターテイメント性を十分に体感出来たような思いがします。
そう言えば、誰だか忘れてしまいましたけど、ヴィヴァルディ本人の演奏を聴いた同時代人の手記が残っておりまして、それは確か「ヴァイオリンの駒と弦を押さえる指の間の藁しべ程の隙間を(とてつもないハイ・ポジションという意味)弓が通り抜け……」なんて感じの、興奮を抑え切れない様子の誇張された文面だったと記憶しております。
終演後は、現代のカリスマ・ヴァイオリニストのサインを求めて長蛇の列が出来ていた事は言うまでもありません。

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2005.08.15

ギュスターヴ・モロー展

◆展覧会名称 : ギュスターヴ・モロー展
◆開催期間 : 2005年8月9日(火)〜10月23日(日)
◆会場 : Bunkamuraザ・ミュージアム

◆主な出品作
《出現》 1876年頃 油彩・キャンヴァス

◆雑感
正直なところ、モローとかラファエル前派とか耽美的要素の強い絵にはそんなに興味を持っていないんです。まぁ、見れば見たで結構面白いなと思ったりもするんですけど、好んで見ようとも思いません。
それでも、これだけ大量のモロー作品を前にするとさすがに圧倒されます。モローの世界観が、会場全体の空気と一体化して鑑賞者を引き込むのが感じられます。1枚の絵を見ている瞬間にも、それ以外の絵を同時に感じ取ることが出来るかのよう。まぁ、これが一人の作家による展覧会の一番の面白味でもありますが。
私にとって、特に興味深かったのは、明暗と色彩のバランスを模索する段階の幾つかのエスキースでした。もちろん、画面も小さいし、この段階だと何が描かれるのかすら分からないんですけど、すでに絵としては完成作に劣らぬ力強さを持っています。モローって、説明的な描写を重ねる事で感情を絵に織り込んでいくタイプの画家だと思っていたのですが、実際には、感情の放出はエスキース段階で終わっていて、本作の制作過程は意外と冷静だったのかも知れませんね。

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2005.07.08

ドレスデン国立美術館展

◆展覧会名称 : ドレスデン国立美術館展-世界の鏡
◆開催期間 : 2005年6月28日(火)〜9月19日(月)
◆会場 : 国立西洋美術館

◆主な出品作
《窓辺で手紙を読む若い女》ヨハネス・フェルメール
《ガニュメデスの誘拐》レンブラント

◆雑感
目玉のひとつと思われるレンブラントの《ガニュメデスの誘拐》は、正直そんなにイケてない絵だなと思ったんですけど、今回はそのイケてい意味を考えてみる事にしました。
この絵の何がイケてないかって、主人公であるガニュメデス君の姿がイケてない。どう見てもその辺にいるガキンチョ、それどころか顔をくしゃくしゃにして大泣きしながらオシッコまで漏らしちゃってます。これが、絶世の美少年であったがために、ゼウスが鷲にさらわせたトロイアの王子の姿でしょうか。だいたい、この絵の主題が、神話や聖書を口実に大っぴらに裸体の美少年を観賞するための方便だったという本来の目的を考えれば、ルーベンスコレッジョの絵みたいに思春期の美少年を描くのが正解だったはずです。
しかし、よくよく考えてみると、もしガニュメデスが成長期の少年だったら重すぎて鷲には持ち上げられないだろうし、鷲に持ち上げられれば恐怖の表情も当然のこと、あの状態で涼しい顔をしてるほうがむしろ異常ですよね。結局、レンブラントが求めたのは鑑賞者を喜ばせる表層の美しさではなく、真実らしさの追及だったということでしょう。

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2005.06.03

クイケン・アンサンブル

◆コンサート名称 : クイケン・アンサンブル
◆日時 : 2005年6月3日(金) 19:00開演
◆会場 : 東京オペラシティコンサートホール

◆出演
【クイケン・アンサンブル 】
シギスヴァルト・クイケン(ヴァイオリン)
寺神戸亮(ヴァイオリン)
マルレーン・ティールス(ヴィオラ)
ヴィーラント・クイケン(チェロ)
バルトルド・クイケン(フラウト・トラヴェルソ)
ロベール・コーネン(チェンバロ)

◆プログラム
J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067
シュメルツァー:弦楽のための哀歌
コレルリ:合奏協奏曲(教会コンチェルト形式)ニ長調 op.6-4
テレマン:フルート・ソナタロ短調(「食卓の音楽」より)
コレルリ:合奏協奏曲(組曲形式)ハ長調 op.6-10
ヴィヴァルディ:フルート協奏曲ト短調op.10-2,RV439「夜」
〜アンコール〜
ヴィヴァルディ:フルート協奏曲ト長調 RV436より 第3楽章アレグロ
ヴィヴァルディ:フルート協奏曲ヘ長調 RV433「海の嵐」より フィナーレ

◆雑感
プログラムを見ると、通常はもっと大きな編成で演奏される曲が多いですよね。バッハの管弦組曲がこうして1パート1人の最小構成で演奏される機会は少ないと思いますし、コレルリの合奏協奏曲に至ってはコンチェルティーノ(ソロ)とリピエーノ(合奏)とが掛け合いする構造になってますので、このメンバーだと人手不足、要するにスコアの段数より演奏家の数のほうがが少ないっていう状態です。
そんな問題も、クイケン・ファミリーの手にかかれば何のその。むしろ小編成の利点を生かして、豊かな装飾を織り交ぜ掛け合いをしながら、自由自在に音楽を紡ぎ出して行きます。編成が小さいが故に、かえって音楽のスケールを広げているかのよう。元より小編成の室内楽を特に好む私ですが、今日はそのだいご味を十分に味わう事が出来ました。

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2005.05.04

大藤まつり

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※なんと300畳敷きの大藤/儀右衛門 撮影

◆イベント名称 : 大藤まつり 〜足利 ふじのはな物語〜
◆日時 : 2005年4月20日(水)〜5月20日(金)
◆会場 : あしかがフラワーパーク

◆雑感
樹齢130年300畳敷きの巨大藤棚とあっては、見ないで死ぬわけにはまいりません。ってな事を考える人はたくさんいるみたいで、園内は大変なにぎわいでした。基本的に日本人って花見が好きなんでしょう。
そう言えば、古くから日本の絵画作品のモチーフとしてよく目にする花、梅、桜、藤、等々は、大きめの樹木に咲く花ですよね。牡丹や椿のように花そのものが大きなものの場合は花自体のクローズアップもよく見かけますが、それらも四季の草花と一緒に自然の中にあるように描かれている事が多いんじゃないかと思います。一年草の燕子花(かきつばた)でさえ切り花ではなく群生している様子(たいていは伊勢物語の場面を表してるみたいですけど)が描かれています。
この事を、西洋絵画、特にオランダ・バロック絵画のバラやチューリップが花瓶にぎっしり詰まった絵と比較してみると、日本人の花に対する感性が分かってきます。私たちは、花の美しさだけではなくて、周辺の景色や、もっと言えば季節の空気までも楽しんでいるんですね。

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2005.04.29

ルーヴル美術館展_19世紀フランス絵画

◆展覧会名称 : ルーヴル美術館展〜19世紀フランス絵画 新古典主義からロマン主義へ〜
◆開催期間 : 2005年4月9日(土)〜7月18日(月・祝)
◆会場 : 横浜美術館

◆主な出品作
《トルコ風呂》 ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル

◆雑感
まぁ、予想どおりと言うか、ルーブルと冠の付いた展覧会は混雑しますねぇ。ともあれ、今回の目玉は、《トルコ風呂》です。アングル晩年の集大成で傑作とされておりますが、実にこれって見れば見るほど変てこな絵です。
例えば、右側の女性は、両腕を上げているのに乳房がそれに伴って上っていません。このようなデフォルメが施されたアングル作品としては、女性の背中を引き伸ばした《グランドオダリスク》が有名ですが、この《トルコ風呂》の場合デフォルメの有り様がきわめて不自然で、グランドオダリスクのように何とか自然な感じに見せようとする意志が全く感じられません。さらに見ていくと、左側で風呂に浸かっている人物があまりにも小さい等、遠近感も一見して分かるほどに歪んでいます。
これが、アングルの判断力の衰えから来るものか、新たな芸術のありかたを模索した結果なのか、私には分かりません。ただ、得意とするモチーフを多用した複雑な空間構成や丁寧な筆遣いなどから、これが画家渾身の作品であったことは容易に理解出来ます。そして結果的には、アカデミズムの中心的存在であったアングルが、実はライバルであるロマン派の旗手ドラクロア以上に革新的な画家だったと言えるんじゃないでしょうか。

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2005.03.18

オーケストラ・リクレアツィオン・ダルカディア

◆コンサート名称 : 日本モーツァルト協会 3月例会 / オーケストラ・リクレアツィオン・ダルカディア
◆日時 : 2005年3月18日(金) 18時45分開演
◆会場 : 東京文化会館小ホール

◆出演
オーケストラ・リクレアツィオン・ダルカディア
( Ricreation d'Arcadia )
指揮・チェンバロ : 渡邊 孝
ヴァイオリン : 松永 綾子
ヴァイオリン : 山口 幸恵
ヴィオラ : 深沢 美奈
チェロ : 懸田 貴嗣
ヴィオローネ : 諸岡 経典
オーボエ : 三宮 正満
オーボエ : 森 綾香
ホルン : 下田 太郎
ホルン : 木村 隆

◆プログラム
モーツァルト:交響曲 ニ長調 K.V.19
F.バルザンティ:ソナタ 第4番 イ長調 op.6
モーツァルト:トリオソナタ 変ロ長調 K.V.266
モーツァルト:(クラヴィーア)チェンバロ協奏曲 ヘ長調 K.V.37
〜休憩〜
G.ムファート:チェンバロと2つのヴァイオリンとバスのためのコンチェルト
モーツァルト:ヴァイオリンとチェロのためのソナタ K.V.46d/e
モーツァルト:交響曲 変ホ長調 K.V.16
〜アンコール〜
モーツァルト : 音楽の冗談よりカノン

◆雑感
今回の中心メンバーは、今年のプレミオ・ボンポルティ国際古楽コンクールアンサンブル部門で優勝、レオンハルトに絶賛されたグループ、リクレアツィオン・ダルカディア(チェンバロ : 渡邊、ヴァイオリン : 松永、山口、チェロ : 懸田の4氏)です。この4人のアンサンブルが聴いてて何とも気持ちが良い。例えばバルサンティのソナタなんかは、この時代の曲にしては複雑に絡み合うちょっと不可思議な世界感があるのですが、これも自然に…流れるように聴かせるだけの力があります。ま、最近の若手演奏家は皆さん上手ですから、線をキレイに合わせるくらいはお茶の子さいさいなんでしょうけど、彼らの演奏は各自が個性的な表現をしながらもそれが突出することなく上手く絡み合ってます。何と言うか、音楽が生き生きとして聴こえるんですね。
今年はイタリア各地の音楽祭に出演するのが主な活動になるようですが、今後は日本国内での活動にもぜひ力を入れて欲しいものです。

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2005.02.20

踊るサテュロス

◆展覧会名称 : 特別展「踊るサテュロス」
◆開催期間 : 2005年2月19日(土)〜3月13日(日)
◆会場 : 東京国立博物館 表慶館

◆雑感
1998年、漁船が引き上げた古代彫刻。たくさんの魚が飛び跳ねる網の中、サテュロスは仰向けの状態で現われたそうです。漁船の船長さんはインタビューの中で、それはそれは美しかったと語っています。私だったら、感動する前にビックリして腰を抜かしていたかも知れませんが…。
ま、それはともかく、ルネサンスの美術作品でお馴染みのサテュロスって言うと獣の脚を持つ腹の膨れた酔っ払いオヤジ(ミケランジェロ作バッカスと共にいるのは子供ですね)ってイメージがあるんですけど、このサテュロスはなかなか精悍な青年像として表わされています。酩酊を表わす宙をさまよう目も、激しく(これが本当に古代彫刻かと思うくらい)踊り狂う姿も、理想を追及するギリシアの美術にそぐわないように思えますが、それだけに一種妖しい魅力を持っているようです。もしかしたら、古代ギリシアでバッカス信仰が盛んになる中、サテュロスはアイドル的な位置を占めていたのかも知れませんね。

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2005.01.03

東京バレエ団_春の祭典、ボレロ

◆イベント名称 : 東京文化会館 2005 ニューイヤーガラコンサート
◆日時 : 2005年1月3日(月) 15:00開演
◆会場 : 東京文化会館大ホール

◆出演
出演:東京バレエ団
指揮:井上道義/演奏:東京都交響楽団

◆プログラム
【第1部 オーケストラ演奏】
E.サティ/パラード(見せ物小屋)
D.ショスタコーヴィッチ/ジャズ・バンドのための組曲第1番
〜〜休憩(ロビーにて獅子舞などのパフォーマンスあり)〜〜
【第2部 バレエ公演】
I.ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」(生贄:吉岡美佳、中島周)
M.ラヴェル/「ボレロ」(メロディ:上野水香)

◆雑感
バレエって、今までバロック・ダンスとかバウハウス・バレエの再現くらいしか行った事が無いんですけど、そんな私でもベジャールのボレロや春の祭典は映像で見て興味は持っていました。特に春の祭典の映像(1959年制作とありましたから半世紀近くも前の作品ということになります)は最近見直してますから割と良く覚えてます。振付はもちろん一緒ですが、舞台のほうが主役にばかり目を奪われずに群像として全体を見ることが出来ますね。
ところで、バレエってルイ14世あたりの興じていた宮廷社交舞踊が発展したものなのでしょうけど、モダン…少なくともベジャールの振付は、舞踊と言うよりまるで動く彫刻群像です。ミケランジェロやロダンの系譜というんでしょうか、人間の身体という素材に形と動きを付けて、目に見えなかった何かを再現しているように思えます。あらためて人間の身体ってすごいものだなと、思ったのでありました。

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